患者さんに症状や治療法の説明をしていると「宗教」といわれることがあります。
これは僕の説明の仕方が下手だからです。
知らないものを「宗教」と思う心理
腰が痛いとか首が痛いとか言う人は多いです。そして原因がわからないと言われる方もめちゃくちゃ多いです。
そんな方に僕は部位の説明ではなくて、「脳」と「痛み」についてお話するようにしています。
詳しくは省きますが「痛み」と感知しているのは「脳」なので、「体」の説明と同じぐらい大切なことです。
「脳」の説明をすると脳内ホルモンの話や心理の話に及ぶわけですが、この段階の話になると一部の患者さんから、
「先生、これ宗教ですか?」
もしくは、
「洗脳ですか?」
と言われることがあります。
「俺は脳の機能の話をしてるのになんでそう思うの?」と思ってしまいますが、こういう人は結構います。
こちらとしては「逆にそうやって思われることが洗脳されてるってことですよ」とか「なにか宗教的な理由で脳の話を聞くのはタブーなんですか?」と言いたくなってしまいます。
しかしそんなことを言ってもなにも始まらないので「脳の機能の話ですから科学的な話ですよ」と軽くいなしながら話を聞いてもらっています。
では、これらの患者さんがなぜ「宗教」や「洗脳」の話を持ち出すかというと「知らない話だから怖い、怪しい」という心理が働いていると考えていいと思います。
知らないことや初めて聞いたことには頭がシャットダウンしてしまうのです。
初めて聞く話を理解するにはエネルギーを使いますから、「めんどくせえ!聞きたくねえ!これは宗教とか怪しいものだから近づかないでおこう!」という処理をしてしまうのです。
治らない性格は確実にある
もともと脳科学の話に興味のある方や、新しいものにどんどんチャレンジしていく性格や性質の持ち主ならば、すんなりと話を聞いて下さる方もいます。
往々にして前者のタイプ(宗教)の方が治りが遅い。
頭で「脳」や「痛み」についての理解が遅いために認知行動療法がうまく行きづらいのがネックかもしれません。新しいことを受け入れることができないので治療法を受け付けないという側面があります。
後者のタイプ(頭が柔軟)の人は脳科学の話を早い段階で「痛み」について理解されるので、どう考えどう行動したらいいかを自分で考えてくれるようになるので改善に繋がりやすいと考えています。
ということは、治る治らないは性格が関係している、と考えられます。
ここで施術者側として考えなければならないのが、他人の性格を「変えれる」と考えるか「変えられない」と考えるか。
僕は患者さんに説明をするのは好きですが押し付けがましく物を言うのは嫌いなので、他人の性格は変えられないという立場を取っています。そのため「ああ、この人は性格的に難しいな」と判断したら説明の仕方を変えます。
もしくは諦めます。
良いか悪いかは別として推奨する治療法を受け入れてもらえないならそれは本人の判断なので他人がとやかく言うことではないと思うからです。
説明の仕方を変えてもなお、本人が治療法や考え方を受け入れてくれないようならどうしようもありません。
治療法に万能はない。でもそれこそ説明が大事。
治る治らないに性格が関係しているだなんて言うと、それこそ「宗教だ」なんて言う人もいるかもしれませんが、これって病気でもそうだと思います。
例えば糖尿病の人に「食事療法しましょう」と伝えて受け入れてくれなければ数値が良くならないのは当たり前です。本人が本気で取り組んでくれなければいかんともし難いことってあるんです。
僕らは運動器を扱っているので患者さんにはわかりにくいかもしれませんが、同じような性質が運動器でもあるわけです。
性格なんか無視できるほど有効な治療法があればいいのですが、我々の業界に万能というものはありませんから難しいものです。
難しいけどやはりこんなときに物を言うのは説明です。
どんな人にもわかるように、かみ砕いて(怪しいと言う印象を与えないように)わかりやすく説明してあげることを心がけたいものです。
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